取材こぼれ話 東山動物園編
2013年9月20日
「なんでここにシカが!?」
本丸御殿公開で注目の名古屋城。
先日、NAMO.フリーペーパーの取材でお邪魔し、びっくり。
お堀には2頭のシカが棲んでいました。
驚きながらも、のんびり過ごす姿には自然と笑顔が。
名古屋城の方に聞いたところ、このシカは職員の方に大事に見守られており、
定期的ではないけれど、東山動物園の獣医さんの往診を受けているんだとか。
このシカ、何を食べているんだろう
そもそもシカってお堀で飼えるの
次から次へと沸いてくる疑問を
東山動物園の副園長黒邉さんにお伺いしてきました。
シカは、世界各地の森林に生息する草食動物で、
主に日本に棲んでいるのは、ニホンジカ。
その亜種であるホンシュウジカが名古屋城にいるシカなんだそう。
(ちなみに、奈良公園のシカと同じ亜種なんですよ。)
代々ホンシュウジカが飼われていますが、
かつては、それに加えてヤクシカも見られたんです。
というのも、
昭和30年頃、東山動物園がヤクシカを寄贈したため。
名古屋城側から、
「ホンシュウジカとは違う種類のシカをもう一群れ飼いたい」
との相談があったんだとか。
50〜60年前にはもう名古屋城と東山動物園との
関わりがあったんですね。
東山動物園の開園は昭和12年(1937年)ですから、
かなり長い付き合いです。
その後の寄贈はないということですが、
今は、往診という形で関わりがあります。
往診は、体調が悪くなったときなどに名古屋城から要請があると診に行くそう。
東山動物園で飼われているのはアクシスジカという種類のシカで、
ホンシュウジカの飼育経験はないそうですが、つながりの深さがうかがえます。
シカは、水場があって草・樹木など緑の豊富なところでなら、
環境に適応する力は高いとのこと。
名古屋城のシカは、お堀の草を食べて生きています。
また、名古屋城の職員さんから週に2回、
ペレット(シカ用のえさ)を与えられているんです。
普段はこの担当の職員さん以外の人とは接触がないため、
人慣れしていない名古屋城のシカ。
隅櫓の工事が始まって、
シカが行き来できるエリアが少なくなったときにも
往診に行ったそうなんですが、
この警戒心が強いはずのシカが向こうから寄ってきたんだとか。
どうやら、食べられるお堀の草が少なくなって、お腹が空いていたよう。
獣医さんは、ペレットだけでなく、干草も追加するようアドバイスされたそうです。
のんびり元気に過ごしていると思っていたシカ。
裏では、長い歴史や人々のつながり、努力があったんですね。
名古屋を訪れるなら、まずはここ名古屋城に決まり!